​協働研究プロジェクト #003

日本企業におけるダイバーシティ&インクルージョン

大塚 英美 氏(神戸学院大学経済学部)

「女性のインクルージョンが昇進意欲に及ぼす影響に関する調査」を行います。

役職志向の男女差がなぜ生じるのかを明らかにするために、女性活躍推進担当者へのヒアリングをとおして推進状況を把握し、職場でのインクルージョン認知は女性と男性とでは何が違うのかを探ります。さらに、女性管理職比率が高い企業と低い企業との違いを浮き彫りにします。

日本企業におけるダイバーシティ&インクルージョンのマネジメントをテーマに研究に携わっています。

特に、欧米のレビューを通じて、ダイバーシティあるいはインクルージョンの研究成果を日本に持ち込んできたときに何が見えてくるのか、ということを研究しています。女性の管理職に関しては、2014年に組織内の環境とライフコースが昇進に与える影響ということでインタビュー調査をすでに実施しています。

 

日本の女性管理職比率が非常に低いということはすでに言われています。特に役員や管理職に占める女性の比率は低く、女性就業者全体に占める割合が低いことはすでに指摘されています。

米国ではダイバーシティ&インクルージョンを推進することが企業価値の向上につながるといわれる面があり、DiversityIncというD&Iの推進で先進的な取組をするトップ50社をランキングしています。このような仕組みは、日本でもありますが、まだメッセージとしては弱いものがあります。

 

「ダイバーシティ・マネジメント」とは、あらゆるレベルで多様な人材を活用するような管理をする、ということです。最近、インクルージョンという概念がダイバーシティ・マネジメントに組み込まれるようになっています。組織における多様な人材が、アドバンテージ(利益)に変えていくような仕組みを構築する、ということが明確に提示されています。

 

では、インクルージョンされている状態はどういう状態かというと、「集団への帰属感と集団において自分らしさを発揮できている割合が高いかどうか?」これが、個人がインクルージョンを感じているということの分析のフレームワークです。日本では、組織の意向や支配的なメンバーに合わせていくという「アシミレーション(同化)」が多いために、女性が入りにくい、女性が男性の文化に合わせているのではないか、ということが想定されます。

 

ソーシャルアクションタンクの協働研究プロジェクトでは、「日本ではなぜ女性管理職が少ないか」を問題意識として、「女性のインクルージョンが昇進意欲に及ぼす影響に関する調査」を進めていきたいと思います。

研究を通じて、男性と女性のインクルージョンの違いはどこにあるのか、女性管理職比率が高い企業と低い企業との違いは何か、といったところを明らかにしていきたいと思います。

 

特に、同じ業界でなぜそのような差が出るのかということを見ていけたらと思います。

公表されているデータからの判断でしかありませんが、同じ業界でA社とB社では女性管理職比率がかなり異なっています。同じ業界なのに、なぜ管理職比率が違うのか、ということを、インクルージョンという概念を通じてみていけたらと思っています。

 

具体的な調査内容としては、企業のダイバーシティ&インクルージョン推進室の女性活躍の担当者にインタビュー調査を行い、どのような施策の進め方をしているか、担当者の推進力の違いなどによって、社内への浸透度にどのように影響しているか、などを見ていきたいと思います。次に、一般の社員については、管理職になっていない男性・女性を対象に、インクルージョン風土の認識や昇進意欲について聞いていきたいと思います。さらに、管理職レベルを対象に、インクルージョン風土の認識や昇進意欲について聞いていきたいと思います。

 

これらを理論的なフレームワークに落としていきたいと思っています。

インクルージョン風土についてのアンケート調査や、インタビュー調査の項目などは、先行研究を参考にしながら、質問項目を精査していく必要があります。数々の先行研究が出ていますので、それらのどの枠組みや項目を採用するのがよいかなど、プロジェクトチームのメンバーのみなさんとともに議論していきたいと思います。

(2021年5月15日 研究構想発表会の大塚先生の発表内容をもとに事務局作成)